ユーザーインタビュー

株式会社 キュービック

株式会社 キュービック
株式会社 キュービック
会社の急激な成長を受け、人事労務まわりの改革を余儀なくされることになったキュービック。しかし、それが会社で働く人たち全員の「未来」の時間を増やす取り組みへと結びつくことに。一体、どのようにして改革を進めたのだろうか?

今もっとも注目されるウェブマーケティング企業

創業から約10年、今ノリに乗っているウェブマーケティング会社がある。2016年の売上は過去最高益の約30億円。前年比で言えば2倍以上で、2010年と比較するとなんと24倍もの成長である。当然、従業員数もうなぎ上り。昨年から今年にかけて、わずか1年で100人以上も増加し、現在は270人ほどが働く企業になった。10年前、東京・赤羽のマンションの1室で、看板もなく、一般居住者にまじってひっそりと旗揚げしたとは信じられないほどの成長ぶりだ。 その会社の名前は「キュービック」。従来のウェブマーケティング会社はクライアントのウェブサイトにダイレクトに集客をおこなうことが多いのに対し、キュービックが得意としているのは、自社にメディアを設け、一般消費者とクライアント企業をつなぎながら、マーケティングストーリーを紡ぎ出すという手法だ。

キュービックが運営する自社メディアには、看護師転職情報サイト「Coconas」(ココナス)、転職応援サイト「HOP!」、日本最大級の脱毛クチコミサイト「エピカワ」などがある。こうしたメディアで一般消費者に有益な情報を届けながら、クライアントの新規顧客開拓を支援する。この新しいビジネスモデルに年々注目が集まり、キュービックには今まさに追い風が吹いているのだ。

矢沢 氏 / 西田 氏

(左から) 矢沢 氏 / 西田 氏

停滞するバックオフィス業務

とはいえ、それだけ急激に拡大すると、社内にはひずみが生じてくる。キュービックでは、それがバックオフィス業務の行き詰まりという形で噴出した。 「なにせ、どんどん人が増えていきますからね。従業員が100人を超えたあたりから、給与振込日の前後3日間くらいは戦場のような日々でした(笑)。完全に切羽詰まっていた」と語るのは、コーポレートサポートチーム(CS)を率いる矢沢さんだ。CSとは、キュービックで総務・経理・労務などの役割を担う部署である。 なぜそんなに大変だったかというと、キュービックではそれまでシステムらしいシステムを導入しておらず、ほぼ人の手に頼っていたからだ。勤怠が合っているかのチェック、Excelシートでの計算、社労士さんに出してもらった給与明細の確認、ネットバンキングは使っているものの1件ずつの個別振込、どれも時間がかかる。さらに交通費は給与と別で振込んでいたため二重に手間がかかり、支給日の翌日に出す給与明細も1件ずつメールに添付して送信。それを当時は矢沢さんがほぼ1人でやっていたというから、目がまわるほど忙しい。 「本当にアナログな感じで、自動化しないと“もういよいよ無理”って(笑)」 じつは、キュービックには昔から、上司が部下の給与明細の裏に手書きでコメントを書き、1人ずつ手渡しするという慣習があった。 「それがうちの文化だったんです。明細を電子化してできなくなったんですが、それでも従業員たちからはお礼の返信メールが来る。そうやって1つのコミュニケーションになっていたので、そこを私がなかなか手放さなかったというのもあります」と矢沢さん。 キュービックでは今でも、賞与の明細は上司のコメント付きで手渡ししているるという。今後さらに人数が増えたら継続できるかわからないが、矢沢さんが「1on1の評価面談みたいなもの」と言うように、その思い入れが自動化への変革を躊躇わせていたわけだ。

行動の指針は「アホだからとりあえずやってみる」

働く人が優秀であればあるほど、その人の能力に頼ってしまい、仕事の仕組み化、標準化が進まないというのはよくある話だ。キュービックの場合も、それが完全に裏目に出ていた。しかし、状況は待ってはくれない。そこで、CSでは部署の1ヶ月のルーティン業務を半年間で100時間削減するという目標を設定。勤怠から給与まで全部ひっくるめて生産性を上げようというゴールを定めた。 いざそう決めたら、矢沢さんの行動は素早かった。コストと生産性の試算をして、会計freeeと人事労務freee、そして勤怠管理にはジョブカンの採用を決め、後任として西田さんを抜擢、二人三脚で導入に当たることにしたのだ。 freeeを選んだのは、知識がなくても使えることと、実際にfreeeが自社のバックオフィス業務を非常に少ない人数でまわしているという実績が決め手になった。一方ジョブカンは、会社の入り口に設置されたiPadにICカードをかざせば打刻できるという機能を評価。

もともとキュービックには、会社のクレド(行動指針)の1つに「ATY」というものがある。「アホだから、とりあえず、やってみる」の頭文字で、コスト感覚やバランス感覚を身につけるためにも、積極的にリスクをとる行動が奨励されている。「そういう土壌がありましたから、導入のハードルは高くなかった。自動化することでこれくらいのコストダウンが見込め、自分たちの未来に使える時間がどれだけ増えるかという試算を出し、すんなり導入が決まりました」(矢沢さん)

杉野 氏 / 宮城 氏

(左から) 杉野 氏 / 宮城 氏

導入期はトラブルも

そんなわけで人事労務まわりの変革が勢いよく進み出したキュービックだったが、導入はやはり大変だったという。 ソフトに入力するための大量のマスタデータの作成も重労働だったが、人事労務freeeを使って1回目の給与振込をしたときは、設定に誤りがあったり、金額が合わなかったりとトラブルが発生。西田さんがチェックしたものを社労士さんに連絡して、いちいち設定を直してもらうという手間が発生した。 「今までは社労士さんにお願いした結果だけしか見えていなかったんですが、freeeを使うと“見える化”するんですよね」と言うのは、最前線で導入に取り組んできたキュービックの西田さんだ。 それについて「クラウド化の影響が大きい」と補足してくれたのが、社会保険労務士法人サトーの杉野さん。「クラウド化すると、クライアントと社労士で同じ画面を共有できますから、どういう設定がされていて、どういう計算式になっているのかが一目瞭然になる。結果だけではなく、過程まで見えるようになるんですね」 導入がスムーズに進むようになったのは、その杉野さんが加わってからだ。キュービックの担当をしているfreee宮城が「杉野さんが“やることリスト”を作ってきてくれたんです。freeeでできること、できないこと、そもそも普段からやっておかないといけないことを全部まとめてくれて、打ち合わせがスムーズになりました」と当時の感動を示せば、矢沢さんも「キュービックは何をやる、社労士さん側は何をやる、freeeは何をやるというのが明確になって、作業が非常にわかりやすくなった」と杉野さんに感謝する。 杉野さん自身は「ただ役割を分けただけなので、そこまでの資料ではない」と謙遜するが、左に掲載したのがそのリストの一部である。 また、矢沢さんと西田さんは、freeeのサポート体制にも支えられたと言う。導入にあたっては、キュービックと社労士、freeeの宮城でチャットワークのグループを組んだが、「トラブルがあっても、チャットで宮城さんにお伝えするとすぐに動いてくれる。対応がすごく早いですね」と西田さん。 一方、宮城は「freeeは既存のシステムとは違い、チューニングやセットアップが要りませんから、お客様の頑張りのほうが必要とされるんですよ(笑)。でも、チャットで不具合を聞けるようにしたのはよかったですね。“そこはこう設定してください”“できなかったら教えてください”というやり取りができました」と当時を振り返る。

自動化で見えてきた従業員の「未来」の時間

こうしてfreeeの導入を決めてから半年、CSでは100時間のルーティン業務削減という目標のうち、じつに半分に当たる50時間を給与計算まわりの自動化だけで達成した。今は誰でも同じ業務ができるように、マニュアル化を進めているところだ。 じつはキュービックでは全従業員のうち6割を学生インターンが占め、日本企業のなかでもインターンの活用が非常に進んでいる会社なのだ。となれば従業員の入れ替わりがあっても、業務が滞らないような工夫が大切。給与計算についても、矢沢さんから西田さん、西田さんから他の人へと受け継いでいけるように、下地づくりに邁進しているのである。興味深いのは、IT企業のキュービックが「ヒト・ファースト」という経営理念を掲げていることだ。「デジタル化・IT化がどれだけ進んでも、繋がるのは結局ヒトとヒト」という考え方が根底にある。 その理念に照らし合わせると、キュービックには2種類のお客様がいることになる。1つが一般消費者、もう1つがクライアント企業だ。キュービックでは前者をユーザー、後者をクライアントと位置づけ、ユーザーのタメになる情報を提供することが、クライアントの成長にもつながるという信念を持っている。

「我々CSのようなノンプロフィット部門で言えば、ユーザーに当たるのが従業員とその家族。つねにその人たちのことをファーストで考え、みんなが働きやすい環境で生産性を上げて、会社の目標に向かって最短で進めるようにするのがCSの役目です。自動化できることを自動化すれば、浮いた時間を従業員の未来の働きやすさへと転換できます。会社が大きくなるのに合わせて、何が効率がよく、どうすればより働きやすい環境になるのかを考えていく必要がある。freeeの導入は、それを実現するための第1歩になりました」(矢沢さん)

組織運営、どうしてる?キュービックの「戦略人事」の取り組み

FAM制度とパワーランチ

仲間内で助け合いながら発展してきたキュービックでは、従業員が働くうえでの心理的安全性を非常に重視している。とくに昨今は急激に人員が増えたため、会社に馴染みのない人にも安心して働いてもらうために、「FAM制度」という一風変わった仕組みを導入。「FAM」とは「ファミリー」のFAMで、部署も社歴も異なる従業員が家長、長男、長女、子どもたちという役割を担い、13~14人で一世帯を作る。現在は18のFAMが合宿や飲み会、研修などさまざまな活動に取り組んでいる。 もう1つ面白い取り組みがパワーランチだ。こちらは月に1回、全従業員をシャッフルし、4~5人単位でランチをとる。食事代は会社が負担し、ランチ後は気づきなどをまとめたレポートを提出。人員が増えても従業員同士の強いつながりを保つ工夫になるほか、インターンも含めて誰もが活発な意見を出せる土壌になっている。

Company Profile

株式会社 キュービック

東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階
03-5338-3550
自社メディア事業や成果報酬型の集客代行事業を手がけるウェブマーケティング会社。「ヒト・オリエンテッドなデジタルマーケティングでみんなの明日が変わるキッカケを生み出し続ける」をミッションとし、デジタルだからこそ、データだけでなくフィールドワークをベースとしてニーズを掘り下げ、真にユーザーへ寄り添うことを重視している。

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