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開発秘話

クラウド申告freee開発秘話①

クラウドサービスと従来のサービスの違い

佐々木 大輔 (写真左) freee株式会社 CEO Co-Founder
一橋大学商学部卒。大学在学時よりインターネットリサーチ会社のインタースコープ(経営統合を経て、現在はマクロミル)にてインターン/契約社員としてリサーチ集計システムや新しいマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は博報堂にて、マーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事する。その後投資アナリストを経て、株式会社ALBERTの執行役員に就任。2008年に Google に参画、中小企業セグメントにおけるアジアでのGoogleのビジネスおよび組織の拡大を推進した。この後、freee 株式会社を創業。

坂本 登史文 (写真右) 執行役員 プロダクトマネージャー
2010年京都大学理学研究科修了。大手メーカー系IT企業でSAPコンサルタントとして会計システムの開発に従事。その後、データサイエンティストとしてDeNAで活躍。2014年3月freee株式会社に参画、データ分析チーム・グロースチームの立ち上げ、会社設立freeeのプロデュースなどを経て、現在はプロダクト戦略の責任者を務める。freeeの人工知能エンジンの発明者でもある。

申告まで一気通貫、freeeの新たなステージが始まる。

開発の背景―法人申告業務の課題解決

坂本:今回の「クラウド申告freee」を開発するにあたり一番重要なポイントは、会計事務所様の付加価値を高め、リアルタイム経営パートナーとして、より踏み込んだコンサルティングや業務効率化を実現していただきたいという想いです。freeeはこれまでも、そのためのソリューションを提供しつづけてきました。

しかし、たとえfreeeを使って日々の経理業務が効率化していても、その後の申告業務では繰り返しの転記作業などの非効率な作業がいまだに残っていました。これは、既存の会計ソフトと申告ソフトが分断されていることが問題だと考えました。会計ソフトから申告ソフトがワンストップで完全に連携できれば、ソフト間のデータ取込の手間や取込エラーの解消、別表作成時のソフト間の行き来や検算、修正時の別表間の関連性担保や多段階の人によるチェックの手間を大幅に減らすことができます。また、法改正のバージョンアップ作業や知識習得も負担ですし、科目内訳書や事業概況書も含めたすべての作業を電子申告で完結できなかったことも問題でした。こうした課題を、今までfreeeで実現してきたレベルの一元管理のもと効率化させ、税務申告まで一気通貫で行えるようにすることで解決できると考えました。

そこには覚悟と発想の転換が必要だった

佐々木:「クラウド申告freee」をリリースするには、覚悟ある決断が必要でした。なにしろ、法人税関連だけで、帳票は200種以上もあります。これらを法改正等の度にメンテナンスしていかねばなりませんし、その信頼性はゆるぎないものとしなければならないからです。また、freeeは従来の申告ソフトとは一線を画する発想をしています。転記等の重複作業も含め、これまでのソフトは、従来の紙の申告書と同じものをつくること自体を目的としていました。しかしfreeeにとって、申告書の作成は目的ではなくあくまで1つの手段です。

わたしたちは常々、リアルタイム経営パートナーというコンセプトのもと、会計データのリアルタイム化を行うことで、経営者の意思決定の支援、業務効率化など、会計事務所様が顧問先に対してより高付加価値なサービスを提供できるようにサポートしてきました。そのため、freeeにはリアルタイムの会計データがありますから、すでに一元化している会計データを、いかに効率良く、それが必要とされる申告書の体裁にあわせてアウトプットするか、という考え方に改めたわけです。

これは発想の転換です。たとえば、GoogleのGメールは、単にアナログの手紙(メール)を電子化したわけではありません。見落としているメールを教えてくれたり、アーカイブのような概念、メールを検索すると便利だといった新たな発想を付加しました。「クラウド申告freee」も同様に、会計ソフトと申告ソフトのデータを密接に連携させることで、劇的な利便性の向上を狙っています。要するに、紙を前提とした話でも、申告書の作成を目的とした話でもなく、そこから課題をシフトさせ、劇的な利便性向上を実現したのが「クラウド申告freee」なのです。

劇的な利便性向上

法人税申告書をクラウド上で完結マイナンバー、電子申告にも対応

坂本:「クラウド申告freee」の目玉は、法人税申告書までをクラウド上で完結できるということです。「クラウド申告freee」は、「クラウド法人申告」と「電子申告アプリ(Windows専用)」の2つで構成され、大きく3つの特徴があります。

1つは、まるで法人申告の優秀なコンシェルジュのように、別表の選択から電子申告まで迷わせることなく、ユーザーをナビゲートしてくれることです。具体的には、会計データから必要な別表の提案や数値の自動入力を行いますし、残高試算表など申告書の作成に必要な情報を同一画面上で参照できます。さらに、連携元の項目や計算式を明記してミスのない入力をサポートしたり、税率の更新や最新の法改正による計算の変更等に自動で対応もします。
2つめが、信頼性と業務効率を両立させるアシスト機能です。これにより、金額の編集により他の別表の金額がどのように変化するかマップ感覚で可視化したり、200を超える項目での徹底的な自動チェック、該当箇所をすぐに見つけられる関連項目検索、コメントや修正履歴等の添付が可能となります。
そして最後が業界最多クラスの対応帳票数です。国税は約200帳票、地方税は約60帳票、納付書は4帳票、代理書面は3帳票の対応を予定していますから、レアケースに対応できないといった不安はないのではないかと思います。

その他では、マイナンバーを使って電子申告ができるということも大きなポイントです。年末調整は、マイナンバーの取扱や電子申告を会計事務所様が自ら行うというケースを新たに追加しています。お客様のマイナンバーを預かることは業務負荷が高い作業なので、そこはテクノロジーを使って負担を下げる工夫をしています。
また、個人事業主の申告に関しては、モバイルでもペーパーレスで申告できるような世界の実現をめざしています。個人は当然モバイルで完結できることがこれからどんどん増えていきますし、当たり前になると思いますので、その当たり前をfreeeとしてつくっていこうと考えています。

佐々木:マイナンバーによって電子申告は飛躍的に普及するだろうと思います。そのため、今回の法人税申告機能に限らず、freeeはあらゆるものに対して電子申告に対応していきます。
以前なら、個人の確定申告であれば、残念ながらプリントアウトして郵送してもらうのが一番ラクでした。しかし今回、すべて電子申告に対応することで、自分たちの抱えていた大きな矛盾を解消できたと思います。freeeは、申告に完全対応したクラウドの業務アプリケーションという、新たなステージを迎えたわけです。会計事務所が必要とするような一般的な申告業務はほぼこれで埋まると考えています。

また、この1年ほどの間、会計事務所の方々といろいろな話をさせていただく中で、年末調整の電子申告に対するニーズが多いことがわかりました。これをワンストップで、法人税や所得税に加えて年末調整まで電子申告に対応できるということは、とても意義のあることだと思います。特に給与計算事務、年末調整業務というのは、会計事務所様にしてみたら、積極的に請け負いたい業務ではないはずですから、本筋の業務を圧迫することなく、手間もかけずにできるということはとても重要な事です。
freeeがその部分も含めたワンストップソリューションを提供することで、また新たな価値を提供できると考えています。

佐々木

「年一化」を解消しリレーションを構築する

佐々木:会計事務所様が、年に1回しか会社の数字について顧問先と話せないというのは問題だと思っています。年1回、申告の直前にだけ数字を出すのでは、そのときになって経営の実態が見えても思うような提案はできません。
しかし、「クラウド申告freee」を使うことで、たとえば、毎月決算を行うようになるとしたら、リアルタイムに予定納税額を計算しそれに応じて投資を進言したり、税金の納付に備えた資金繰りなど、提供できる付加価値が増え、顧問先の経営にも入っていくことができます。当然、得られる報酬単価も上がり、顧問先との関係性も深まっていくと思います。

今後は従来だと決算の時に慌てて計算しなければならなかったものが、リアルタイムで見える化されるようになり、面倒だったプロセスがかなり簡略化されます。申告書を提出するのは年1回かもしれませんが、リアルタイムダッシュボードとして税務申告ができていれば、そこにまったく違うサービスの仕方があり得ます。より付加価値を提供する方法が多様化すると思いますし、年一化という問題も解決していくのではないかと思っています。
もう少し長い目でみる必要はありますが、今回のfreeeの進化が、年一化を解決するためのひとつの種になるのではないかと思っています。

ますます創造的な活動にフォーカスできる

坂本:この数字はあっているか、この計算はあっているか。会計事務所様は、数字に責任を持たねばなりませんから、これまでは単純作業を強いられることが多かったと思います。
ですが、そのあたりの作業は本来なら人間よりも機械のほうが得意なことです。そして作業から解放された時間を使って、機械ではできない、多くの顧問先を見ている経験があればこそできるアドバイスやコンサルティングを行う。リアルタイムな数字の計算はクラウドがやってくれる、その数字を次にどう活かすのか、それを考え、経営者の方にアドバイスしていく。わたしたちはリアルタイム経営パートナーと呼びますが、そのような方々をどんどん増やしていけるよう、ますます創造的な活動ができるようサポートしていきたいと考えています。

佐々木:freeeとしてまず実現すべきことは、リアルタイムでつなげられる情報の質を高めることです。それによって会計事務所様ではリアルタイムに提供できる付加価値の幅が広がりますし、質も高まります。新たにどのような高付加価値のサービスを提供できるか、あるいは今までとは全然違うスケールで顧問先を抱えられる仕組みをつくれるのか、私たちとしてはそれらの点などについてもっともっと突き詰めて考えていかなければならないと考えています。

今後は税務の情報までもがfreeeの中に集まります。より多くの素材が集まることで、それをベースとした高付加価値なアドバイスやコンサルティングを提供したり、いっしょに事業計画の策定なども行えるようになると思っています。
それらの素材を活用してどう料理するかは、会計事務所の皆さまのクリエイティビティによるところになりますが、今後はそれがより求められるのではないでしょうか。たとえば、データをもとに、より経営に対するアドバイスを提供するなど、今までとは仕事の質も変わってくるはずです。
そうした仕事にワクワクする人たちが現れ、もっといろいろな人が集まる。今後の会計業界は、もっともっと創造的な業界になっていくのではないかと思っています。

参考情報
会計連携

真のリアルタイム経営パートナーへ

佐々木:会計事務所様が顧問先の経営にしっかりと関与していただくために、わたしたちは、データとデータをつなぐことや会計データのリアルタイム化など、会計事務所様がより高いパフォーマンスを発揮するための基盤、高速インフラを提供しているわけですが、それだけにとどまらず、より経営パートナーとなるための武器を提供していかねばならないと認識しています。
顧問先といっしょに事業計画をつくる、投資判断をする、KPIを設定するなど、財務全体を知っているからこそアドバイスできる分野にも関わらず、今までは作業に追われて踏み込めなかった部分へ、もっともっと踏み込んでいただけるようサポートしたいと考えています。

リアルタイム経営パートナーというのは、ケガを治すお医者さんではなく、より速く走れるようにしてくれるスポーツドクター、コーチのようなものだと思います。それはどうしたら実現できるかと考えなければならないときに、判断できるデータをしっかりと持っている。資金調達も同時にしなければならないようなときでも、足回りよくお手伝いできる。そのようなことが大事ではないかと思います。そういう意味でも、リアルタイム経営パートナーが、職域拡大であったり、小さなビジネスをより成長させるきっかけになればうれしく思います。

坂本

これからも会計業界の未来のために

坂本:会計業界はこれからどんどん変わり、エキサイティングになると思います。広告やゲーム業界でもそうだったように、デジタル化が進むほどに市場は大きくなっていきます。これからおそらく同じことが、会計業界でも起こっていくのではないかと思います。こうしたデジタル化の新しい波に乗ることで、会計事務所様は自分のビジネスをより大きく成長させることも、顧問先により自分らしい価値を届けることもできるようになるはずです。わたしたちは、それをサポートするべく、会計業界を盛り上げていきたいと思っています。

佐々木:今回、税務申告までを一気通貫で行えるようになりますが、これはまだまだ始まりにすぎません。過去3年半に渡って、freeeとしては、お客様の抱えている課題と向き合ってきました。そしてこの度、法人税の申告や電子申告という1つの大きな課題を克服できたわけですが、それによって様々な面白い可能性が生まれます。これをきっかけとして、さらに新たな付加価値づくりや、今までにないサービスの開発などに、会計事務所様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。

これからも会計業界の未来のために

開発秘話一覧

“思い先行”の経営者の方々を支援したい「社会福祉法人 with freee」

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会計freeeをベースに、社会福祉法人向けの拡張アプリを開発中の税理士法人ゆびすい。もともと全国2万社の社会福祉法人のうち約800社を顧客に持ち、社会福祉法人会計に特化したシステムを開発していたゆびすいが、freeeとの共同開発によって、そのシステムを進化させる取り組みだ。このプロジェクトに携わるゆびすい社員3名に、開発に寄せる思いを聞いた。

2018.04.02 もっと読む
クラウド申告freee開発秘話②

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クラウド申告freeeにより、決算から申告までの全プロセスがシームレスにつながります。しかし、開発の人間としては、単に申告までが一気通貫して行えて便利になるだけではなく、freeeらしく、いかに便利にできるか、細部まで突き詰めた開発を行ってきました。

2018.02.02 もっと読む
クラウド申告freee開発秘話①

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今回の「クラウド申告freee」を開発するにあたり一番重要なポイントは、会計事務所様の付加価値を高め、リアルタイム経営パートナーとして、より踏み込んだコンサルティングや業務効率化を実現していただきたいという想いです。

2018.02.02 もっと読む
スキャンで経理

スキャンで経理

freeeはオンラインバンキング・クレジットカードをご利用の方であれば「自動で経理」という機能で効率化していただくことが出来るのですが、どうしても現金支払といった領収書からの手入力が今ひとつ効率化出来ていない点がありました。

2018.02.02 もっと読む