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税務調査の受忍義務違反は結局こうなる

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私への質問・相談で多いのが、「○○のように対応すれば税務調査を断っていると捉えられ、受忍義務違反に該当しますか?」というものがあります。 典型例としては、無予告調査に対する理由の開示を求めて、その回答がない限り、税務調査には応じない、などの対応です。

まず、税務調査における納税者の受忍義務を規定した条文をみておきましょう。(一部省略)

国税通則法第127条(罰則)

二 第74条の2〜(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

三 第74条の2から第74条の6までの規定による物件の提示又は提出の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件を提示し、若しくは提出した者

として、税務調査に対する受忍義務を法的に定めているわけです。

一方で、無予告調査における理由開示ですが、今年8月9日に、「無予告調査の理由は開示されてなくても・・・」と題して本メルマガでも解説したとおり、理由の開示義務は定められていませんから、いくら理由開示を迫っても、開示されないこともあります。では、上記を前提として、無予告調査の理由を開示されないことを根拠にして、税務調査を断り続ければどうなるのでしょうか?

実際の事案として、無予告調査の理由開示を書面で迫り、その回答がないままで調査を受けないとして課税要件を争った平成28年10月21日の(非公開)裁決では、(TAINSコード:F0-5-177)

 ○消費税の仕入税額控除を否認された

 ○青色の取消しを受けた

を争い、裁決で納税者が負けています。

結局のところ、受忍義務違反となると、国税は国税通則法第127条の罰則規定を持ち出すことなく、帳簿が開示されないことから消費税の否認と青色取消ができてしまうのです。(他の似たような事案でも同じような結果が多数)なお、受忍義務違反の罰則規定は、今まで実際には適用されたことがない(不服申立て・裁判までいったことがない)とされており、国税による代替課税が実施されるのが通例となっています。

税務調査の手続きを知ることは重要で、かつそれが適正に履行されているかどうかは税務調査において重要な論点ではあります。 しかし、その根拠が明確でなく、実質的に税務調査を「忌避した」ということになれば、損害を被るのは顧問先、ということになります。上記の事案でいえば、無予告調査の理由開示を求めることまではいいのですが、国税に理由開示義務がないことまで知っていれば、ここまで大事にはならなかったはずです。

なお、上記の非公開裁決は、裁決文において金額は非開示となっていますが、ネット上のニュースでは30億円超の否認となっています。 本コラムでも、税務調査手続きについて情報を多数取り上げていますが、法的にきちんと理解すべき点は多くあります。 生半可な知識で、調査手続きを盾に戦えば良くない結果を招くことに繋がりかねません。

※本ページの情報は、2017年12月8日時点での情報になります。

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Profile

久保憂希也

元国税調査官 株式会社 InspireConsulting代表取締役 株式会社 KACHIEL代表取締役社長
1995年
慶應義塾大学経済学部入学
2001年
国税庁入庁 東京国税局配属 飲食店・医療業・士業・芸能人・風俗等の税務調査を担当する その他外国人課税事務、確定申告関連事務を担当
2008年
株式会社InspireConsulting設立、 税務調査のコンサルタントとして活動し、数千名の税理士に税務調査の正しい対応方法を教えている
2016年
株式会社 トラスタックス(現KACHIEL)と経営統合 現在、 株式会社 KACHIEL代表取締役社長

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