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役員退職給与の一部として、生命保険の契約者変更をした場合の税務

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税理士 見田村元宣が過去の裁決、判決を中心に是認、否認のポイントを解説していきます。

さて、今回は「役員退職給与の一部として、生命保険の契約者変更をした場合の税務」ですが、平成13年12月12日の裁決を取り上げます。

役員退職給与の一部として、生命保険の契約者変更(法人から個人)をすることは普通にありますが、この場合、一時所得の計算上、控除できる金額はいくらになるでしょうか?

たとえば、下記状況とします。

会社が支払った一時払い保険料:3,000万円
退職時の解約返戻金相当額:3,700万円
個人が受領した解約返戻金:3,900万円

これに関して、国税が「一時所得の計算上、控除できる金額は3,000万円である」と更正したのが本裁決事例です。


これに対し、国税不服審判所は「3,700万円を控除すべき」と判断しました。


〇所得税法第34条第2項が「収入を得るために支出した金額」について、「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」としているのは、一時所得に係る収入に関連して、あるいは収入があったことに基づいて支出されるようなものは収入を得るために支出した金額とするものであると解されるところ、このことは、収入から支出を差し引いた純所得に課税するという所得税の本旨からすれば、条理上当然であると考えられる。

〇使用者が使用人等に使用者契約の生命保険の契約上の権利を付与した場合は、使用人等は保険料の額を使用者から引き継いだことになるのであるが、本件の場合、使用人等は、その権利を取得したことにより、本件退職時解約返戻金相当額から本件保険料を差し引いた本件金員(注)相当額の経済的利益が発生している。
(注)解約返戻金と一時払い保険料の差額

〇この場合において、使用人等が使用者から引き継いだ生命保険契約上の権利の額は、保険料の総額ではなく、その支給時において生命保険契約等を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金で評価することになると解され、そのことは、当該解約返戻金の額で権利を取得したものとみることができる。

〇すなわち、本件の場合、退職金の一部として保険契約者及び保険金受取人の名義が変更されたことにより、請求人は、本件生命保険契約に係る保険契約上の権利を取得し、本件金員を含む本件退職時解約返戻金相当額をもって退職所得としての課税を受け、その後、本件生命保険契約を解約して本件解約返戻金を受け取っていることが認められる。

〇そうすると、一時所得の金額の計算上控除する金額については、一般には保険料の額と解するのが相当であるとしても、本件においては、本件退職時解約返戻金相当額が保険料総額を上回っており、本件金員を含めて退職所得課税の対象となっていることから、本件金員は、所得税法第34条第2項に規定する一時所得の金額の計算上収入を得るために支出した金額に含まれると解するのが相当である。
以上です。
「TKC税務Q&A」にも本裁決を前提としたと思われる事例
「生命保険解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上控除する金額」が掲載されています。

併せてご覧頂ければと思います。

※本ページの情報は、2017年11月24日時点での情報になります。

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Profile

久保憂希也

元国税調査官 株式会社 InspireConsulting代表取締役 株式会社 KACHIEL代表取締役社長
1995年
慶應義塾大学経済学部入学
2001年
国税庁入庁 東京国税局配属 飲食店・医療業・士業・芸能人・風俗等の税務調査を担当する その他外国人課税事務、確定申告関連事務を担当
2008年
株式会社InspireConsulting設立、 税務調査のコンサルタントとして活動し、数千名の税理士に税務調査の正しい対応方法を教えている
2016年
株式会社 トラスタックス(現KACHIEL)と経営統合 現在、 株式会社 KACHIEL代表取締役社長

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