業界を変える技術トレンド 最新Techレポート

クラウド完結型の「業務フロー」構築の極意 STEP 2

クラウドサービスと従来のサービスの違い

STEP 2:キーとなるテクノロジーを理解しよう

効果的にクラウド化を進めたいなら、テクノロジーを知ることも必要。キーとなるのは「API」と「RPA」の2つです。この2つの本質を理解すれば、「よいサービスがない」と嘆くことなく、実現したいシステム構築が可能となります。

API (Application Programming Interface):標準的な業務はクラウドサービスを組み合わせてつなぐ

最近のトレンドワードの1つとも言える「API」。マスコミでもよく見かけるようになりました。でも、「イマイチ何のことだかわからない」という人も多いのではないでしょうか。ここではAPIの仕組みを基礎から解説します。


ソフトウェアの機能を貸し借りするドアの「鍵」

クラウドが普及するにつれて盛んになっているのが、「API連携」です。APIとは、ソフトウェアの機能を共有する仕組みのこと。自社のシステムの一部を公開して(これを「オープンAPI」と言います)、他社のソフトウェアでもその機能を使えるようにします。

以前は、ある企業が開発したシステムはクローズドで管理されてきました。別の企業がそのシステムを使おうと思っても、鍵がかけられた扉みたいなもので、外から自由にアクセスすることはできません。でもAPIが公開されていれば、許可を与えられた人は自由に扉を開けてアクセスできます。いわば、企業間でソフトウェアの機能を貸し借りするための「鍵」の役割を果たすのがAPIなのです。

たとえば、みなさんもレストランを探すとき、「食べログ」や「ぐるなび」といったグルメサイトを検索したことがあると思います。これらのグルメサイトでは、お店のページにピンが表示された地図が載っていますよね。これはGoogleマップのAPIが公開されているからこそできること。業者はGoogleマップという機能を自分たちのサービスに組み込んで、より便利なものにできるのです。

期待されるオープンイノベーション効果

では、なぜ今オープンAPIの機運が高まっているのでしょうか。企業は莫大なコストをかけてシステムを作り上げているのに、そのAPIを公開することにどんなメリットがあるのでしょう。

まずは、自社のデータやシステム機能を有償で提供して、新たな収益源にできること。でも、それ以上に大きいのが、自社のデータやシステムを組み込んだ新たな製品・サービスが外部の人によって作られることで、オープンイノベーションの促進が狙えるということです。

今や企業は、自社の製品や経営資源だけでは、新たな価値(イノベーション)を生み出すことが難しくなっています。そのため、外部から技術やアイデアを取り込むことで、新しいイノベーションを作り出そうという動きが社会的にも高まっているのです。

汎用性と利便性が高いプログラムがAPI公開されれば、同様の機能をゼロから開発しなくても済み、多くのサービスの開発が促進されます。また、システムごとにデータがバラバラになっているより、連携させてデータを一元管理するほうが、ユーザーにとっても効率的です。

freeeも各機能を提供しているベンダーと連携することで、より多くのユーザーのニーズに応えながら、一層の業務効率化を実現しています。1つ1つのツールは限定的な機能でも、それをつなぎ合わせることで、より広範なニーズに応えることができます。それはユーザーの立場に立った開発が重視される世の中になってきているということでもあります。

この新潮流を広めていくべく、freeeではAPIを活用した外部サービス連携を強化していく「freee オープンプラットフォーム」戦略を発表し、連携パートナーとともにAPIエコノミー形成を目指していきます。

使い方は無限大!創意工夫が生産性を左右する

ところで、APIはシステムベンダー同士が連携を進めるもので、自分たち一般ユーザーにはあまり関係ないと思っている人もいるのではないでしょうか。じつは、利用しているサービス間でAPI連携が開発されていなくても、APIさえ公開されていれば、自分で好きにツールをつなげて使えるようにする無料サービスがあるのです。

有名なところでは、zapier(ザピア)やIFTTT(イフト)といったマッシュアップサービス。これらのサービスを使えば、Gmailの添付ファイルをDropboxに自動的にアップロードしたり、名刺管理アプリとGoogleコンタクトを連携してスマホの電話帳として使ったり、Googleカレンダーの予定をLINEに自動で流したりと、自分好みにカスタマイズして作業を自動化することができます。工夫次第では、複数のサービスを組み合わせることでより複雑な作業も自動化できます。たとえば、時間計測アプリのToggleで記録した作業時間をGoogleスプレッドシートに自動転記、それを請求書APIを使ってfreeeの請求書に落とし込めば、タイムチャージする請求書も簡単に作成できます。

両方とも英語のサイトですが、使い方を検索すると日本語の解説ページがたくさんヒットします。今後は個人もAPIを活用して、手作業の雑務を自動化するという時代がやってくるでしょう。

30年前は、ITを使いこなすことで生じていた生産性の差はせいぜい3~5倍でした。しかし、今はクラウドサービスを使いこなせるかどうかで、生産性に100倍の差がついてもおかしくない時代。APIは、企業だけでなく個人の生活をも支える身近な存在になりつつあるのです。


Commentary

水野谷将吾

ベンチャーにて複数の事業立ち上げや運営に参画。EC事業部にて事業責任者を経て、freee株式会社入社。APIエバンジェリストとしてPR、マーケティング、PMまでを担当。

RPA (Robotic Process Automation):各社固有の業務をオーダーメイドで自動化する

APIはそもそも企業が公開してくれないと使うことができません。企業が公開していなければあきらめるしかないのでしょうか?いえいえ、その場合はRPAという心強い味方が存在します。

業務をロボットで自動化

RPAとは、人がパソコンを操作しておこなっている業務を、人間の代わりに自動でおこなうソフトウェア型のロボット。ロボットといってもソフトウェアなので、パソコン上で動作するものです。もっとも得意とするのが、資料間のデータのコピペのような毎日繰り返し行う単純な定型作業の自動化。

前ページで紹介したAPIは、企業の公開努力に頼るしか手がありません。時代の要請に従ってAPIを公開する企業は増えていくと思われますが、もし企業が公開しなければ、そのデータ・システムを共有することは難しいのです。それがAPIの限界でもあります。

でも、RPAは人の代わりにパソコン上で作業をしてくれる「デジタルレイバー」と言えるもの。API連携ができないがためにデータをCSV形式で落とし込み、手で加工して別システムに取り込むというような作業を代替してくれるのがRPAです。

上図のようにデータのインポート・エクスポートといったデータの連携のほか、情報収集、各種チェック、データの集計や加工が可能です。つまり、経理、財務、総務、人事、営業事務といったホワイトカラーのバックオフィス業務で威力を発揮しやすいということです。

人口減少や仕事の多様化、働き方改革などにより、人手不足が深刻な問題になっている現在、かぎられたリソースでいかにエコシステムを作るかは、これからのビジネスの大きな課題です。そのときAPIと並んで自社の仕組み作りに大きく貢献してくれるのが、RPAというデジタルレイバー。APIで連携できないので人力で単純作業をやっている場合には、RPAが心強い味方になってくれることでしょう。

コストを抑え社内での開発が可能

RPAの大きな特徴は、「安価であること」と「内製化ができること」。これまでは自社の業務を自動化するシステムを独自に開発しようとすれば、何億円という費用が発生していました。しかも、不具合の処理やメンテナンスにも数百万、数千万円のランニングコストがかかるのは当たり前。これではスモールビジネスで導入するのは不可能です。

対してRPAは、パソコン上でロボットが働く仕組みを作るだけなので、コストが非常に安価です。既存システムを変えなくてもシステム間の情報連携ができるので、導入もスムーズにできます。

また、内製化とは自社運用が可能ということ。RPAソリューションとして販売されているソフトウェアは、直観的に操作できるように設計されていることが多く、ITスキルの高くない人でも簡単に使いこなすことができます。Excelのマクロ機能よりも簡単に自社の社員がロボットに指令を与え、自由に操ることができるのです。もちろんプログラミングなどの専門知識も不要。

オーダーメイドのロボットを作る

RPAソリューションの1つとしてfreeeがイチオシしたいのが、ソフトバンクが開発した「SynchRoid」(シンクロイド)です。

ここでも交通費精算を例に挙げて説明してみましょう。従業員が月末に手帳を見ながらひと月分の外出の出発駅と到着駅をExcelの専用フォームに入力し、いちいち乗換案内サイトで料金を調べながら手入力――というのが、よく見られる光景です。1日にあちこちの会社を訪問する営業マンなどは、そのぶん入力の手間がかかり、交通費の申請作業だけで数時間を費やすということも珍しくはありません。それを各従業員がやるのですから、社内全体の損失はいかばかりでしょう。

このときSynchRoidを使えば、自分がやる一連のパソコン上での作業をソフトウェアに覚えさせ、2回目以降は自動でやってもらうことができるのです。使い方は、シンクロイドの操作画面(下)を表示したまま、実際のインターネット画面でやる作業やExcelでの作業をやってみせるだけ。すると、その作業がアクションウィンドウに記録され、次からはロボットが作業を自動化してくれます。

一度覚えれば、社員が何千人いても、1万件でも10万件でも、自動的に作業が完了。人間がやればどうしてもミスが出ますが、SynchRoidはミスをしません。もしミスをするとしたら、そもそもの設定が間違っているということです。作業スピードも圧倒的に速くなります。

経費精算は1つのわかりやすい例ですが、RPAは自社の業務に合わせて多くのバックオフィス業務を自動化することが可能。まさに、自社に合ったオーダーメイドのロボットが安価に作れる仕組みです。帳簿の管理やチェック、給与計算といったバックオフィス業務の多い会計業務には、非常に適したソリューションと言えるでしょう。

SynchRoidはfreeeのようなクラウドソフトとも非常に相性がよいのです。今後はクラウドソフトを利用するのが当たり前になり、次の段階としてExcelやクラウドソフトを自動的に動かせるロボットを社内で内製化する。そんな世界は、すぐそこまで来ています。



Commentary

野村厚夫さん

ソフトバンク株式会社
法人事業統括 法人マーケティング本部
シニアプロジェクトディレクター
2011年より法人サービス・モバイルインターネット・首都圏営業本部の本部長を歴任。現在はRPAを中心として中小企業のIT武装に従事し、中小企業向けセミナーなどで講演を精力的に行う。

SynchRoid Q&A

Q:いくらくらいかかるの?

RPAを手軽に導入していただけるよう、次の2つのパックをご用意しています。

ベーシックパック
・RPA開発者を複数人同時育成
・複数ユーザで同時利用 10ライセンス 60万円/月

ライトパック
・RPA開発者を1人ずつ育成
・1ユーザからの利用 1ライセンス 90万円/月

Q:自社内での開発をサポートしてくれるサービスはあるの?

導入支援サービス(RPAで自動化する業務の選定)、開発スキルトレーニング(自社のロボット開発者の育成)、開発支援サービスなど、導入から開発まで、きめ細かいサポート体制があります。



お問い合わせ

ソフトバンク 法人デジタルダイレクト

SynchRoidホームページ https://info.freee.co.jp/softbank-rpa
フォームによるお問い合わせ窓口 https://info.freee.co.jp/ask-rpa
0800-111-1018(電話受付時間:平日10:00~17:00)