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認定アドバイザーインタビュー

クラウドが切り拓く人事労務の未来 HRテックで業務はこう変わる!

クラウドが切り拓く人事労務の未来 HRテックで業務はこう変わる!
中村亮介氏、榊 裕葵氏、有馬美帆氏、山本純次氏 中村亮介氏、榊 裕葵氏、有馬美帆氏、山本純次氏

今回お集まりいただいたのは、ポライト社会保険労務士法人から中村さんと榊さんのお2人、社会保険労務士法人シグナルから有馬さん、個人で事務所をされている山本さんの4名。最前線で活躍するみなさんに、社労士のリアルな現状と新しい変化の波をお聞きした。

二度の“革命”を経てもまだアナログな社労士業界

最近では「HRテック」という言葉も登場し、人事労務も変革期を迎えていますね。そこで、まずは社労士さんを取り巻く現状を教えていただけますか?

中村:役所への書類提出方法については、ここ10数年で大きな革命が2回起きているんです。第1次革命は10年くらい前になりますが、郵送でも受け付けてもらえるようになったこと。私がある社労士事務所に就職したのは2004年ですが、そのころは書類を持参して直接提出するしかありませんでした。

有馬:まさに革命でしたよね

中村:そこに第2次革命として電子申請が始まった。最初はできる手続きに制限があったり、添付書類は郵送で送る必要があったりしたのですが、それがある程度使いやすくなったのが、ここ4〜5年くらいかと思います。

榊:でも、電子申請の利用率はまだ10%もないんですよね。電子申請のシステム(e-Gov)が特殊な操作もあり、慣れるのに時間がかかるので。

中村:そうそう、当初ちょっとやそっとでは使い方をマスターできなかったんですよ(笑)。そういう状況のなか、現在はクラウドソフトなどから簡単に電子申請できるようになったという第3次革命が起きていますが、まだ二の足を踏んでいる人が多いという印象です。

山本:私は事務所を構えてまだ1年半で、その前は監査法人の人事部に10年いたんです。監査法人だと税理士・会計士として独立していくメンバーも多いのですが、会計の業界は進んでいて、仕訳は海外にアウトソースに出し、データはクラウド管理というのが当たり前になっている。ところが、社労士の勉強会に参加すると、クラウドがテーマの回でも、使っている人間は私だけだったりするんですね。やはり社労士はまだまだローカルでアナログな業界だと思います。

税理士法人小林会計事務所所長 税理士・行政書士 小林清 氏

(左から) 中村 氏 / 榊 氏

Profile

中村亮介 氏

ポライト社会保険労務士法人の代表社員。大卒後、大手進学塾で理数教師として6年勤め、社会保険等の仕組みに興味を覚え社労士に。社労士業務に携わるようになって13年。

榊裕葵 氏

ポライト社会保険労務士法人のマネージング・パートナー。大卒後、上場企業の経営企画室、海外事業室で約8年、実務を経験。経営相談に強い社労士として顧問先支援にあたっている。

都内から広がりつつあるIT化の波

中村:埼玉の社労士会でもいまだに電子申請講習会をやっていますよ。私たちの場合、お客さんも土建屋さんや運送業、美容室や病院といった地元密着型が多いので、まだ1割くらいのお客さんからはので、まだ1割くらいのお客さんからは「FAXでお願いします」と言われます。
そんな感じですし、正直、私自身がテクノロジーに強くない(笑)。それで榊と組んで事務所を開設したんですが……。

榊:私は3〜4年ほど前まではサラリーマンとして経営企画室や海外事業室で働いていたんです。思い立って社労士になったんですが、逆に実務経験があるわけではないので、新しいことを取り入れるしかなかったんですね(笑)。実務は中村に教えてもらい、ITは私が教えるというやり方です。埼玉では人事労務の分野において、まだまだ本格的にIT化の波が来たという温度感ではないですが、有馬さんや山本さんは渋谷でしょう。やはり、IT化に積極的なお客様が多いのでしょうか?

有馬:まったくいないわけではありませんが、私のお客様はベンチャー企業が多く、ITリテラシーは高すぎるくらいなので、クラウドシステムありきで相談に来られる方が多いです。「今の社労士さんがfreeeを使えないから、契約を切り替えたい」というご相談もよくありますよ。うちにはFAXもありませんし、顧問先がPC操作に慣れていない場合は、「スキャンしてPDF化してメール」という一連の流れを覚えてもらっています。

山本:うちも同じで、IT企業がほとんどですね。開業するときに、これからはAI化、クラウド化が時流になっていくと思っていたので、なるべくクラウドシステム1本でいこうと決め、実務を進めています。その意味では、クラウドが使える社労士のニーズってすごく高い。なぜみんな使わないんだろうと思うぐらい。

有馬:本当にそう思いますね。

移行期の「痛み」にどう対処するか

こうお聞きすると、同じ社労士業界でも、顧客層によって前提が変わっていきそうですね。

榊:まったくその通りです。我々の場合、従来のやり方を変えるのに躊躇う部分もあるんです。「これまでは年金手帳と履歴書のコピーを先生にFAXすれば済んでいたのに、データを打ち込まなきゃいけないの?」というお客様もいらっしゃる。単純に工数が増えてしまうんですね。また、原本をもらっていれば、こちらもプロですからミスはない前提ですが、従業員さん自身に入力してもらうとなると、数字や漢字が間違っていて、結果的に保険証が届くのが遅くなっちゃったり。

中村:たしかに、そのあたりの対策はどうされているのかお聞きしたいです。

山本・有馬:(顔を見合わせて)……。

お二人とも「間違える人いる?」みたいな顔をされていますが(笑)。

山本:いや、間違えるケースもあるとは思いますよ。でも私はシステムありきで始めているので、それが使えるお客様が前提になっていますし、入力していただくものについては、本人が入力するスタイルだとその人に負担がありますが、ミスの可能性が減ります。企業としても極力、効率化したいというのがありますし。

榊:なるほど。もう1つの課題は、クラウド利用を前提とした円滑な業務フローの構築ですね。当社でも、従来のアナログを前提に組まれていた業務フローを、クラウドを利用した場合に置き換えている最中ですが、まだまだ改善の余地があると思っています。もちろん、クラウド化したことですでに大きな成果も出ています。
たとえば、助成金の申請において添付書類として必要になる出勤簿や賃金台帳を顧客から集めるのに時間がかかっていましたが、freeeならIDを共有していればすぐに確認できますし、勤怠と給与計算が1対1で紐付いているので残業代の払い漏れもない。このように、クラウド化のメリットは非常に大きいと思うのですが、「クラウド」という武器を社労士としてどう使いこなし、またお客様にどう説明していくか、ですね……。

中村:お客様によっては、それで得られるメリットと、クラウドに移行するときの工数の増加についてのバランスがまだとれていない場合もあるんです。

山本:それは移行期に伴う非常に難しい問題ですよね。これまではIT業界のようなアーリーアダプターの方がfreeeを使って、「これは便利だ」と発信する段階でしたが、これからはマジョリティに広がっていくステージでしょう。うちのIT系のお客様は、freeeを使うのがメリットにもデメリットにもならず、何の違和感もありませんから、いずれはそれが普通の出発点になっていくと思います。でもそれまでは、社労士がその橋渡し役にならないといけない。社労士全体で考えていくべき問題だと思います。

税理士法人小林会計事務所所長 税理士・行政書士 小林清 氏

(左から) 有馬 氏 / 山本 氏

Profile

有馬美帆 氏

社会保険労務士法人シグナル代表。急成長するベンチャー企業において、企業フェーズに応じた支援と一歩先回りした提案によって、顧客の成長を加速させている。

山本純次 氏

社会保険労務士表参道HRオフィス代表。社労士法人、大手監査法人人事部での経験を経て渋谷にて開業。クラウドツールの活用ができる新しい社労士像の確立を目指す。

社労士だけ、税理士だけでは榊人事労務freeeと会計freeeがうま不完全!

freeeのようなクラウドソフトの利点には、社労士と税理士の協業がしやすいという面もあると思うんですが、それについてはどう思われますか?

山本:私は会計事務所と協働で仕事をするケースが非常に多いんです。でも、税理士・会計士さんって、給与計算が得意でない方も多いじゃないですか。

中村:うん、残業代や社会保険料についてはそうかもしれませんね。

山本:その場合、freeeで一貫してできるのは、すごく楽だと思いますね。

中村:確かに、従来だと「毎月の給与計算をおこなってデータを持っているほうが年末調整をおこなう」という流れがありますが、お互いにfreee上のデータを共有していれば、税務については税理士さんが担当し、社会保険については社労士が担当するということになり、より正しい資料が仕上がりますね。

有馬:そのときは会計freeeを我々も見られるように設定してもらうんですか?

山本:そういう会社と、計算だけという会社がありますが……。

榊:今後は両者が見られるほうがいいですよね。働き方改革という時代ですから、労働生産性を重視すると、労務と会計で一体化して企業の診断ができたほうがいい。それは社労士だけでもできないし、税理士だけでもできない。やはりお互いに協力し合う必要があると思います。

これからの社労士が担う役目

有馬:私は、企業が健全に大きくなるためには、健康と同じで「予防」が大切だと思うんです。ベンチャー企業の場合、すごいスピードで従業員が増えていくので、会社のフェーズもどんどん変わっていきます。資金調達にしろ労務トラブルにしろ、フェーズが変わってから問題に対処するのでは遅くて、先を見越して予防できるように提案するのが私たちの役目だと思うんです。従業員が増えると、労務トラブルも必ず増えるんですよね。
私の感覚値では、従業員数の5%は会社に不満を抱えている。そこでトラブルが起きるのは避けたい。

山本:そうですよね。採用、退職、休職といろんなステージがあるなかで、人事アドミニストレーション全般に関しては社労士が相談の窓口になれば、ただの手続き屋ではなく、企業の「人」の育成、成長に貢献できるようになると思います。

中村:となると、キーワードは内製化支援ということになりそうですね。我々が手続きをやるのではなく、freeeのようなソフトを使って自社でやってもらう。それによって私たちもさまざまなニーズに対応できるようになり、手続き以外の面でのサポートが増やせる。

榊:人事労務freeeと会計freeeがうまく合体すれば、それこそ1人当たりの売上高や残業時間数の推移、誰か特定の人に残業が偏っていないかといった、経営と人事労務のコクピットになりますからね。それに基づいたアドバイスが可能になる。

有馬:freeeのおかげで細かい仕事が減って、社労士としての力を発揮しやすくなるんじゃないかというのはすごく感じるところです。今後は人事労務面でのコンサルティングに力を入れていける社労士がもっともっと増えていく世の中になるのではないでしょうか。

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